Pocket

 

肯定も否定もあるだろう、社会に対する「問い」

誰もが知っている化粧品会社のPOLA。

去年、「この国は、女性にとって発展途上国」

というキャッチコピーで社会に問を投げかけ、おおいに議論を巻き起こしました。


このCMに共感する女性がたくさんいる一方で、

「そんな状況を分かっていて飛び込んだ方が悪い」「海外で働けばいい」

といった根本解決にならない意見まで様々。

まだまだ、バリバリ男性が社会で上に立つべき論のある40後半のバブル世代が退職するまでは根強い偏見は残るでしょうし、そうした世代に育てられた子世代も少なからず男社会的な考え方は持っているでしょう。

少なからず出産子育てでキャリアを中断せざるを得ない女性が出世するには非常に困難が多いように感じます。

 

それとは別に、一昔前の本当に女性の処遇が悪かった時代に頑張って働いてきた世代の先輩たちを知っているから、

「これだけ優遇されるようになって、まだ甘えてるの?」

と思ったのも事実。

さらに、汗だくで力仕事を任されている男性社員・悔しくて歯を食いしばっていることが多いのも男性社員、このCMみたく何もしんどいのは女性だけじゃないだろうに、と思ったのも事実。

私は、子どもを育てているということは未来の日本の働き手を育てていることになるので、子育てしているお父さんお母さんが一番生産性が高いと思うのですが・・・

子育てをして、さらに仕事もしているなんて、神の域だと思います。

 

自分自身の「刷り込まれた無意識」にはっとする

 

CMのように「女性は内助の功であるべき」「美しく花を添える役であるべき」「強く優しい母であるべき」を幻の女性とするならば。

逆に考えると「男性は表に立ってバリバリ働くべき」といった偏見とも取れます。

「良妻賢母」や「大黒柱」など、それを表す言葉が存在することがこれを表していますが、これは昭和のこと。

 

先日友人が、「夫が専業主夫」とFBに書き込み、一瞬ぎょっとしました。

この私の感覚こそが、裏を返せば「男性は表で働くべき」という偏見です。

友人の家庭は、妻が公務員、夫が主夫。

性別逆、つまり夫が公務員・妻が専業主婦というのであれば何とも思わないところ。

きっと親世代は「旦那さん働いてないの!?」と思う人が大半でしょう。

わたしも、一瞬驚いたことで、「男性は外で働いているのが普通」と自分も刷り込まれてきたことに気づかされました。

最近のいろんな情報に触れているからこそ、「ああそういうのもありか」と思えるのであって、頭の固い私の50代の上司(女性)なんかそんなこと知ったら何を言うかわかりません。

友人の夫は、家事も子育ても完ぺきにこなしてくれるので安心して働けるそうです。

普通に考えると理想の家庭ですよね。

 

考えてみてください。

妻が子育ても家事も楽しんで、完璧にこなす。それに夫が感謝している。安心して働けるよって言ってくれる。

素敵すぎます。

それが性別が逆というだけで、ちょっと斜めに見られてしまう。

おかしなことに、批判する人まで出てくる。

「旦那さん、仕事していないなんて大丈夫なの・・・」

私も一瞬そう思ってしまったように、この国には(日本だけじゃないのはわかっていますが)まだまだ

「女性はこうあるべき」

「男性はこうあるべき」

という呪縛が無意識に存在しているということです。



 

 

 

男性にとっても発展途上国である

ポーラのCMでは女性の社会的立ち位置が弱い、という視点で作られていますが、男性も視点を変えれば弱い立場であり、困難を抱えていることがとても多いです。

たとえば、男性の保育士。メイクアップアーティスト。化粧美容部員など今だからこそジェンダー的な問題が寛容になってきて話題になり、堂々と働く人も多くいますが、なかなか女性ばかりの職場で女性の目線意識が必要な仕事には偏見がついて回るもの。

女性ばかりで黒一点、なんていうこともある保育士さんは、特に最近クローズアップされていますよね。

「なぜ保育士になろうとしたのか。女児が好きなのか。いやらしい目で見るのではないか」

というクレームが絶えず、

えっ そんな風に思う人がいるの?

と驚きを隠せない一方で、様々な人の価値観にさらされながら「男性だから」という理由だけで苦しんでいるのです。

メイクさんや美容部員だって、

「男が化粧なんかするか。化粧なんか覚えて、おかまか」

そんなことない、そうでも気にしない、と言う人も多くいるのはわかりますが、世の中おかしなイチャモンを付ける人もいるもので、苦労が絶えない男性も多いのです。

上であげた専業主夫も、その一つでしょう。

「奥さんも働かないといけないなんてかわいそう」

と考えるプライドのある専業主婦の方も一定数います。そこで、

「旦那さんが働いていなくて奥さんが働いている」

ことに食いついてくる人はいるでしょうね。残念ながら。

男性だって誰もが働きたいわけではなく、家事を得意とする人だっているかもしれないのに・・・育児休暇をとりたい人だってたくさんいるのに・・・保育園のお迎えで退社するのに後ろめたいのは男性の方かもしれません。

力仕事でエアコンもない職場で真っ黒になりながら働いている男性が多くいるのを考えたら、オフィスでの雑用なんかなんともないです。

 

もしかしたら女性の社会進出・待遇のことばかり取り上げられている今日、日本は男性を置き去りにして、「男性にとって発展途上国」になっているのかもしれません。

 

要は自分の意識次第

CMでは、女性軽視の考えを60秒で伝えなければいけないがために極端な表現になっていますが、映し出されているのは雑用を無表情でこなす女性。

コピーだって、お茶の片づけだって、誰かがやらなくてはいけないこと。それが「女性に押し付けられている」と感じるのでしょうか。

女性の細やかな性格からして、片付けを頼んだ方がきれいになる、という考え方もあります。

雑用が仕事の邪魔になるってことでしょうか。

それとも、大きな仕事をしたいのに雑用しかさせてもらえないってことでしょうか。

お腹をさすっている女性を映し出し、言いたいことは何でしょうか。

これ以上どんな待遇が欲しいのでしょうか。

去年のCMはいまいち、逆に男性のことはどうでもいいのか?とすら考えました。

のしかかる重圧、力仕事、もちろん雑用をこなす男性だって。

要するに、自分の意識次第。

私は会議前のお茶を入れたり片付けるのは何とも思いません。

カップの茶渋をとるのに漂泊しておくのもやれと言われたわけではなく、喜んでもらえるなら、と思ってやります。

私の頼まれることが嫌ではない性格もあるのでしょう。

逆に雑用が嫌いな人もいるのでしょう。

確かに多くの男性に進んで雑用をやろうとする細やかな気遣いは期待できないのかもしれません。

でもそれが「女性だから」と捉えて、社会的な地位が軽視されているのとは結び付かないような気がします。

その人にとって適材適所じゃなかった、男性も女性も、それだけではないでしょうか。
ちなみに友人は学校の教師ですが、男性も女性も同じように雑用をするそうです。

むしろ、ベテランおばちゃん先生が若い男性教師を力仕事に何でも駆り出すそうで。

POLAのCMとは真逆の現象です。

あくまでも友人の職場が、ですよ。

 

女性を描いたネット動画やCMの炎上・取り下げが相次ぐ昨今、“挑戦的”なCMがある。化粧品大手ポーラ(東京都品川区)がショップで働くビューティーディレクターを募集する、リクルートのためのCMだ。「この国は、女性にとって発展途上国」と、ドキッとするフレーズで打ち出した前作から1年ぶりに第2弾を公開。現代女性の生きづらさをえぐり出す。ジェンダーを扱うCMは賛否や好き嫌いが分かれがちだが、ポーラはなぜあえて踏み込むのか。

「幻の男女像にとらわれる日本」

あなたは、どうおもいましたか。